2021年01月15日

築200年の蔵改修物語・その4

築200年の蔵改修物語・その4



今回は蔵の下屋屋根材のお話しです。
築200年の蔵の既存下屋屋根は、
銅板葺きで見事な緑青が吹いてして素晴らしいものでした。

当然、それを活かしたいと思いましたが、
考えておかなければならないのが樋の問題です。
現状の樋は、塩ビ製の半丸樋でしたが、
劣化が進んでいました。

築200年の蔵改修物語・その4



加えて下屋屋根の一部に雨漏りによる腐食と
タル木や桁にも、一部腐食がみられました。
当初から、柱と方杖は入れ替える予定でしたが、
既存タル木部は一部腐食部の取り替えと
補強タル木を両側から添えて補強し、
さらに軒先を延長して雨掛かりを抑える設計としていました。

現場の進行の中で、それなら躯体を解体して
軒桁は腐食部のみ取り替えて再利用して、
タル木を新規にかけ直した方が施工も早く、
補強タル木を転用できるので、可能とのことになり、
下屋全体を再構築しています。

築200年の蔵改修物語・その4


築200年の蔵改修物語・その4



話を樋に戻します。
蔵の構造補強と外壁補修で生まれ変わる蔵の外観。
そこに既存銅板屋根が合うことは間違いありません。
しかし、そこに塩ビ製樋では
蔵全体の質感の釣り合いが取れません。
そうなると銅樋ということになりますが、
蔵本体の瓦屋根の樋も、塩ビ製から銅板樋へ
替えるとなると、
はたして樋にそこまでコストを掛ける必要があるか?
ということになります。

築200年の蔵改修物語・その4



今回は、塩ビ製樋から私の設計スペックである、
タニタハウジングウェアのガルバリウム鋼鈑樋の
スタンダード半丸を使用します。
https://www.tanita-hw.co.jp/product/37/

しかし、ガルバリウム鋼鈑と銅板を同時使用することは、
金属イオン化傾向による電食を誘発する
可能性があるので、避けたいところです。

下屋の構造躯体の取り替えとガルバリウム鋼鈑平葺きに
ガルバリウム鋼鈑樋という組み合わせが、
全体の質感とコストのバランスが良いと判断しました。

築200年の蔵改修物語・その4



しかし、この銅板を単に廃棄するというのは、
この上ない罪なことと感じておりましたが。。。
と、ちょうどその頃にポツンと一軒家と
大改造!!劇的ビフォーアフターの初コラボ番組で、
静岡・諸子沢の古民家リフォームをおこなっていたので、
そこに転用するお話しを建主さんにしたところ、
快く受け入れくださり、
私の教えている静岡産業技術専門学校のご協力と
建築科の学生たちに手伝ってもらって加工・取付をおこなう
というタイミングバッチリの提案をおこない、
築200年の蔵の銅板が築150年の古民家リフォームに、
若者の力で受け継がれるという物語ができあがりました。

築200年の蔵改修物語・その4



〇ポツンと一軒家・大改造!! 劇的ビフォーアフター番外編1銅板再生編
https://atelier-m-architects.at.webry.info/202004/article_1.html

〇ポツンと一軒家・大改造!! 劇的ビフォーアフター番外編2学生奮闘編
https://atelier-m-architects.at.webry.info/202004/article_3.html

こうして、銅板を無駄にすることなく、
築200年の蔵の下屋屋根も再生することができました

築200年の蔵改修物語・その4


築200年の蔵改修物語・その4

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